課税期間に関わる基準期間がない法人の納税義務の処理について
消費税には、対象の課税期間の基準期間の課税売上高が1千万円以下である事業者に対して、納税の義務を免除するという事業者免税点制度があります。このことから、新しく設立された法人はその基準期間がないので、設立して1期目と2期目は納税の義務が免除されます。
ただし、基準期間がない法人でも、事業年度の始まる日の時点での資本金などの額数が1千万円以上になる法人はこの事業者免税点制度の適用は受けられません。
また、この制度の適用対象になっても、設立3期目からの課税期間の納税の判定は、原則通りに基準期間の課税売上高で判定することになります。
この特例を適用したい法人は、その納税地の管轄税務署長宛てに「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」を速やかに提出することになりますが、消費税の新設法人に当てはまるという内容を記した「法人設立届出書」を出すことで済ませることも可能です。
また、2010年4月1日から設立された法人は、基準期間の無い事業年度に入るそれぞれの課税期間中に、調整対象固定資産に当たる課税貨物の保税地域から引き取った場合や調整対象固定資産を仕入れたなどの場合は、その固定資産の引き取りなどをした日の含まれる課税期間の初日から3年間は免除事業者になれないのが原則です。なお、簡易課税制度が適用される申告も不可能です。
*2013年1月1日から始まる事業年度などについて、その基準期間の課税売上高が1千万円以下でも、特定の期間の課税売上高が1千万円を超過した場合、当該課税期間から課税事業者になります。また、特定の期間の1千万円に関する判断は、課税売上高の代わりに、給与などの支払額の合計で判断することも可能です。
*調整対象固定資産:棚卸資産以外の、構築物、建物とその付属設備、船舶、装置と機械、工具、運搬具と車両、航空機、備品と器具、鉱業権とその他の資産で、ひとつの取引単位が1百万円以上であるもの