中小企業に対する技術基盤強化制度
当該事業年度に損失金額に算入可能な試験研究費がある時に、その額数の一定の割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することができるという制度があります。この制度は、「特別試験研究に関わる税額控除制度」と「試験研究費の総額に関わる税額控除制度」と重複して適用することはできません。
この制度の適用対象となる法人は、青色申告を行った農業協同組合などと資本金などの額数が1億円以下である法人、資本などは持っていない法人の中で常に勤務している従業員数が1千人以下である法人になります。
対象年度は下記の事業年度以外の年度です。
<1> 解散(合併による解散は除外)の日が含まれる事業年度
<2>「特別試験研究に関わる税額控除制度」の適用がされている事業年度
<3>「試験研究費の合計に関わる税額控除制度」の適用がされている事業年度
<4>2や3に関する繰越税額控除制度の適用がされている事業年度
<5>清算中の各事業年度
*同じ大法人が出資・発行済み株式等の総額・総数の半分以上を持っている法人や、二つ以上の大法人が出資・発行済み株式等の総額・総数の2/3以上を持っている法人は除外となります。
制度の対象になる試験研究費用は、以下の通りです。
<1>他の人に試験研究を委託するが目的で支出した費用などの額数
<2>技術の発明・考案・ 改良や製品の製造に関わる試験研究に要した経費、原材料費、人件費
*試験研究に補充することが目的で他人から支払ってもらう金額がある場合は、その金額を引いた残額が試験研究費用になります。
税額控除の限度額は、対象の事業年度の損金算入される試験研究費に0.12をかけて算出された金額となります。しかし、その限度額が当該事業年度の法人税額の2割相当の額数を超過する場合は、その相当額が限度額になります。
また、「試験研究費用額数が増加した場合などの税額控除制度」によって、2008年4月1日~2012年3月31日までの間に始まるそれぞれの事業年度において、下記の1や2に当てはまる場合は、どちらかを選んで適用することで上記の税額控除限度額とは別枠で税額の控除を適用することが可能です。この場合の控除限度額は下記の通りになります。
その 限度額が当該事業年度の法人税額の1割相当の額数を超過する場合は、その相当額が限度額になります。
(1) 試験研究費が比較試験研究費を超過すると同時に、基準試験研究費も超過する場合:(試験研究費用額数-比較試験研究費用額数)X 0.05
(2) 試験研究費が平均売上金額の1割相当の額数を超過する場合:(試験研究費用額数-平均売上金額X0.1)X 超過税額控除の割合
*超過税額控除の割合=(試験研究費用の割合-0.1)X0.2
*試験研究費用の割合=平均売上金額/当該事業年度の損金参入される試験研究費用額数
1.比較試験研究費:適用される年度の始まる日の前の3年以内に始まったそれぞれの事業年度に損金算入される試験研究費を平均した額数
2.基準試験研究費:適用される年度の始まる日の前の2年以内に始まったそれぞれの事業年度に損金算入される試験研究費用額の中で、一番多い金額
3.平均売上金額:適用される年度とその年度の始まる日の前の3年以内に始まったそれぞれの事業年度の売上金額の平均額数
制度を適用するためには、控除の対象にしたい金額計算に対する明細書を確定申告書などに添えるとともに、その金額を申告書などに記して申告してください。
*この制度を適用して控除されても、中小企業者などの税額控除の限度額が法人税額の2割相当額を超過したため控除しきれなかった残額があるときは、その残額について一定の要件を満足させてから1年間の繰り越すことが可能です。