2008年3月31日前に始まる事業年度分に対する人材投資促進税制
2008年3月31日までの事業年度に対する人材投資促進税制には、以下の2つの仕組みがあります。
1.中小企業者などの教育訓練費の合計額に対する税額控除:青色申告をした農業協同組合などや、青色申告をした資本金などの額数が1億円以下である法人、資本金などがない法人のなかで常時使っている従業員数が1千人以下である法人に対しては、2の代わりに当該事業年度に発生した損金算入される教育訓練費の全額の一定の割合の税額控除ができるものです。
しかし、同じ大法人が出資や発行済み株式等の総額や総数の半分以上を持っている法人や、二つ以上の大法人が出資や発行済み株式等の総額や総数の2/3以上を持っている法人は除外されます。
2.増加教育訓練費用額の税額控除:教育訓練費が比較教育訓練費を超過する場合に、その超過する部分の額数の一定の割合の税額控除ができるものです。
*2008年度の税制改正によって2008年4月1日から始まる事業年度については、「中小企業者などにおける教育訓練費の税額控除」に変更することとなりました。
教育訓練費の範囲は、対象法人が使用人の職務に要する知識や技術を向上させ、収得させるために支出する金額で、下記のようなものです。
法人が教育訓練などの用途に使う教材・教科書などの製作・購入に要する費用:製作は、他人に委託して製作する場合に限られます。
法人がその使用人を他人の教育訓練などに参加させる時に支出する受験手数料など
法人が委託をして他人が教育訓練などをする時に、その人に対して支出する金額
法人がその使用人に対して教育、研修、講習、訓練などを自分で行うため時の指導者・講師などに支出する謝金や報酬、料金とその教育訓練のための設備や施設の賃借費用など
*比較教育訓練費用額数とは、この制度の適用対象としたい事業年度の始まる日の前の2年以内に始まったそれぞれの事業年度の損金参入される教育訓練費用の合計を、その2年以内の事業年度の数で割って算出した額数をいいます。
増加した教育訓練費用に関する税額控除の限度額は、以下の計算式によって算出された金額になります。しかし、Bの限度額が対象事業年度の法人税額の1割相当の額数を超過する場合は、控除の対象になる金額はその1割相当の額数が限度になります。
(A)(適用年度の教育訓練費の額数-比較教育訓練費用額数)=a
(B)a×25/100=税額控除の限度額
中小企業者などの教育訓練費の全額に対する税額控除の限度額は、以下の計算式により算出された金額です。しかし、この場合もBの限度額が対象事業年度の法人税額の1割相当の額数を超過する場合は、控除の対象になる金額はその1割相当の額数が限度になります。
(A)(適用年度の教育訓練費用額-比較教育訓練費用額)/比較教育訓練費用額×1/2=b
(B)適用年度の教育訓練費用額×b(Bが0.2を超える場合には0.2)=税額控除の限度額
この制度を適用するためには、その計算に関わる明細書と教育訓練などの内容、その実施年月日、参加者名などを記した書類を確定申告書に添えるとともに、控除の対象になる金額を確定申告書等に記す必要があります。