法人の新規設立や新規開業をする時について
法人や個人の事業者の課税期間の基準期間の課税売上高が1千万円以下の場合は、消費税の納税の義務は免除となります。
この基準期間とは、法人の場合は前前事業年度、個人の事業者の場合は前々年のことです。このことから、新しく設立された法人や新しく開業した個人事業者のように、その課税期間に対する基準期間又は基準期間の課税売上高が無い場合は、その納税義務が免除されますが、事業年度の基準期間が無い法人の中で、事業年度が始まる日の資本金などの額数が1千万円以上の法人の場合は納税の義務が免除されません。
このケース以外にも、納税の義務が免除されない場合は下記の通りです。
(1)相続で相続人が被相続人の事業承継をした年の次の年と翌々年に、相続人のその基準期間の課税売上高と被相続人のその基準期間の課税売上高との合計が1千万円を超過する場合
(2)相続で相続人が被相続人の事業承継をした年に、基準期間になる前々年の被相続人の課税売上高が1千万円を超過する場合
(3)分割などによって新しく設立した法人の、その分割が行われた日の事業年度で、その基準期間に対する期間での各新設分割新法人の課税売上高として計算された金額のどちらかが1千万円を超過している場合
(4)合併で新しく設立された法人のその合併が行われた日の事業年度で、その基準期間に対する期間での各新設分割新法人の課税売上高として計算された金額のどちらかが1千万円を超過している場合
また、個人の事業者が法人なりをして新しく法人設立をした時は、個人当時の課税売上高はその法人の基準期間の課税売上高に入りません。
なお、設備投資が大きな額数で行われた場合や、輸出業者のように経常的に還付が発生する事業者に関しては、免除事業者でも課税事業者を選ぶことで、消費税の還付を貰うことが可能です。
課税事業者を選ぶためには、原則としては課税事業者の規定を適用したい課税期間の始まる日の前日までに、納税地の管轄税務署長に「消費税課税事業者選択届出書」を出す必要があります。しかし、新しく事業を始めた場合は、その事業を開始した日の含まれる課税期間の末日までに出せば、その課税期間から課税事業者になります。
このような手続きを行った事業者は、事業を廃止する場合以外に、その課税選択に従って納税義務者になった最初の課税期間が含まれた2年間は免税事業者に戻れないのが原則です。
また、免税事業者に戻るためには、前の課税期間中に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を出してください。
しかし、2010年4月1日から「消費税課税事業者選択届出書」を出し、その届出書を提出した日の含まれる課税期間の翌課税期間の初日から2年の過ぎるまでの間に始まったそれぞれの課税期間内に日本での調整対象固定資産に当たる課税貨物の保税地域からの引き取りや、調整対象固定資産の課税仕入れをした際には、その固定資産の仕入れなどを行った日の含まれる課税期間の初日から3年の過ぎた日の含まれる課税期間の初日からでなければ、「消費税課税事業者選択不適用届出書」の提出は不可能で、簡易課税制度を選ぶことも不可能なこととなります。