中小企業投資促進税制の特別償却と税制控除の適用対象

 

中小企業等投資促進税制とは、1998年6月1日~2014年3月31日までの間に新品の装置や機械などを製作・取得して日本内の建設業や製造業などの指定事業用として使用した場合に、その指定事業用として使った日の属する事業年度に特別償却や税額控除の適用を可能にする制度をいい、この中小企業投資促進税制の特別償却と税制控除の適用対象は、その法人の資本金の額によって異なります。

特別償却の適用対象は農業協同組合などや資本などの金額が1億円以下である法人と、資本などを持っていない法人の中で常時使用している従業員数が1千人以下である法人になります。
しかし、同一の資本金などの額数が1億円以上である大規模法人に発行済株式や出資の総数や総数の5割を超過して所有されている法人と、2つ以上の大規模法人に発行済株式や出資の総数や総数の66%を超過して所有されている法人は除外となります。
更に税額控除の適用対象は、この中小企業の中から資本などの金額が3千万円を超えない法人と農業協同組合などとなります。
*どちらの適用対象の場合も、青色申告法人であることが必要です。

この制度の適用対象になる事業年度は、指定期間内にその対象資産を製作・取得した指定事業用として使用した場合でのその指定事業用として使用した日の属する事業年度になりますが、清算中の各事業年度や、解散の日の属する事業年度の場合は除外となります。
適用対象になる資産は、新品の中の以下の項目に当たる資産で、指定期間内に製作・取得して指定事業用として使用したものです。しかし、内航運送用として使われる船舶を貸し渡す事業を経営している法人以外の法人が貸付用として使う資産は、この制度の対象から除かれます。
1. 製品の品質管理の向上、事務処理の能率化などに寄与する以下の項目に当たるどちらかのもので、1基や1台の取得価額が120万円を超えるもの
(1)電子計算機
(2)検査工具と測定工具(2012年4月1日から製作・取得したものに限られます)
(3)測定・試験機器(2012年4月1日から製作・取得したものに限られます)
(4)インターネットに繋がったデジタル複合機
2.1に準じるもので、以下の項目に当てはまるもの:1基や1台の取得価額は同じく120万円を超えるものに限られます。
(1)電子計算機
(2)測定・試験機器(2012年4月1日から製作・取得したものに限られます)
(3)検査工具と測定工具(2012年4月1日から製作・取得したものに限られます)
3.ソフトウェア(開発研究用のものやコピーして販売するための原本、サーバー用のオペレーティングシステムの中で一定の者は除外)で、以下の項目に当てはまるどちらかのもの
(1)当該事業年度で事業用として使用したソフトウェア取得価額の合計が70万円をこえるもの
(2)一つのソフトウェア取得にかかる価額が70万円を超えるもの
*当該事業年度が2014年4月1日の前に始まると同時に、同日以降に終わる場合は、その事業年度の始まる日から2014年3月31日までの期間内に事業用として使用したソフトウェア取得価額の合計が70万円を超えるものに限定されます。
4.装置や機械で、1基・1台の取得価額が160万円を超えるもの
5.運搬具や車両の中で一定の普通自動車で、貨物の運送用として使用されるものの中で車両総重量が3.5トンを超えるもの
6.内航海運業用として使用される船舶

この制度の対象になる指定事業は、性風俗関連特殊営業に当たるもの以外の以下の事業となります。
農業、漁業、林業、鉱業、建設業、製造業、卸売業、倉庫業、ガス業、小売業、郵便業、通信業、旅行業、こん包業、水産養殖業、港湾運送業、道路貨物運送業、内航船舶貸渡業、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業と沿海運輸業、料理店業とその他の飲食店業(バーやキャバレー、料亭、ナイトクラブとその他のこれらの類似事業は除外)、損害保険代理業とサービス業(映画業と物品賃貸業以外の娯楽業は除外)

制度の償却についての償却限度額は、普通償却限度額に、基準取得価額(船舶に対してはその取得価額の3/4に当てはまる額数をいい、それ以外の資産に関してはその取得価額)の3割相当の額数の特別償却限度額を加えた金額となります。
そして税額控除の限度額は、基準取得価額の0.7割相当の額数となります。しかし、その限度額が当該事業年度の法人税額の2割相当額以上となった場合は、控除対象となる金額はその2割相当額になります。また、2割相当額以上になったため、その事業年度に税額控除限度の全額を控除しきれなかった時は、その超過額について1年間の繰り越しができます。

*一つの資産に関してこの制度での税額控除と特別償却を重複して適用することはできません。
*この制度による税額控除や特別償却の定めの適用が受けられた場合は、租税特別措置法上の圧縮記帳と、他の税額控除や他の制度での特別償却の定めとの重複適用はできません:研究開発税制は除外です。
*特別償却の適用対象になることの代わりに、特別償却限度額を超えない金額を損金経理することで特別償却の基準金として積み立てることや、当該事業年度の決算確定日までに剰余金を処分することで特別償却の準備金として積み立てることで、損金算入することも可能です。
この適用の対象になるためには、確定申告書などに特別償却の準備金として積み立てた額数の損金算入に対する申告を記すとともに、その金額にかかわる明細書を添えることが必要です。
*特別償却の適用対象になるためには、確定申告書などに償却限度の額数の計算に対する明細書を添えることが必要です。
なお、税額控除の適用対象になるためには、確定申告書に控除対象にする金額を記すとともに、その額数の計算に対する明細書を添えてください。
また、繰越税額控除限度額の繰越控除の適用を受けるためには、その限度超過額が発生した事業年度の後の各事業年度の確定申告書に限度超過額の明細書を添えると同時に、限度超過額の繰越控除の適用対象にしたい事業年度の確定申告書などに繰越控除の対象金額を記して、その額数の計算に対する明細書を添えて申告することが必要です。

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