一括評価金銭債権に対する貸倒引当金の計算について
法定繰入率を選んで一括評価金銭債権に関する貸倒引当金の繰入限度額の計算を行う際に、その債権の債券者が支払った金額があることから、実際の債権と思われない部分の金額相当の額数を一括評価金銭債権の額数から控除することになります。
ここで、2010年4月1日から始まる事業年度からは、2011年4月1日から始まる事業年度(2011年6月30日の前に終わる事業年度は除外)にあっては、資本金などの額数が5億円以上である法人の完全子法人などの法人は法定繰入率の選択ができません。
2012年4月1日から始まる事業年度から、貸倒引当金の繰り入れが可能な法人は資本金などの額数が1億円以下である法人(完全子法人などは除外)か、金融に関する取引に関わる金銭債権を持っている一定の法人か(この制度の適用対象になる金銭債権は一定の金銭債権に限られています)、保険会社や銀行などとこれらと類似の法人に限られます。
以下は、この一括評価金銭債権に該当するものと該当しないものの一覧です。
(1) 一括評価金銭債権に該当するもの
a.貸付金・売掛金
b.保証債務を履行した際の求償権
c.延払基準の適用を受けている場合の割賦未収金など
d.貸付金・売掛金などの債権によって得た受取手形
e.貸付金・売掛金などの債権によって得た先日月小切手の中で法人が一括評価金銭債権に入れたもの
f.未収の損害賠償金で、益金算入されたもの
g.他人のために立替払いした時の立替金
h.売買があったものの扱いになる法人税法上のリース取引のリース料の中で、支払期日が来ていないもの
i.未収の未収地代家賃、未収加工料、未収保管料、未収請負金、未収手数料または貸付金の未収利子で、益金算入されたもの
j.工事進行基準の適用をしている時の当該工事の目的物の引き渡しの時の前の工事未収金:2008年4月1日から始まる事業年度
(2)一括評価金銭債権に該当しないもの
a.仕入れ割戻の未収金
b.預け金、敷金、保証金とこれらに類似の債権
c.保険会社での代理店勘定の額数
d.金融機関での他店為替貸借の決済取引とともに行う未決済為替貸勘定の額数
e.公社債の未収利子、預貯金とその未収利子、未収配当とその他これらに類似の債権
f.前渡金、手付金などのように資産を取得する時の代価や費用の支払いに補充末う者として支払った金額
g.証券金融会社や証券会社に対して、借株の担保として差し入れた信用取引に関する株式の売却代金の相当額数
h.工事進行基準の適用を受けている場合の当該工事の目的物を渡す前の工事未収金:2008年3月1日までに始まる事業年度
i.雇用保険法、障害者の雇用の促進などに対する法律、雇用対策法などの法令の定めに従って交付を受ける給付金などの未収金
j.前渡交際費、前払給料、概算払旅費などのように将来清算される費用の前倒しとして、一時的に立替金、仮払金として経理される額数
k.法人法第61条の5第1項の定めによる未決済デリバティブ取引に関わる差金勘定等の額数
l.法人が、SPC(特定目的会社)を使って売掛債権などの証券化をした際に、その特定目的会社から発行される証券などの中で、その法人が持つことになったもの